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生活介護の報酬について

現在、厚生労働省 障害保健福祉部が実施する検討会等において、令和6年度の報酬改定に向けた議論が進められています。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定を前に、改めて現状の“生活介護”の報酬について確認いたしましょう。

障害福祉サービス施設の報酬

障害福祉サービス施設の指定事業所となると、毎月の請求により国から給付金が支給されます。
給付金は、障害福祉サービスの種類や利用者数、施設を置く地域(地域区分単価)などにより変わります。
この得られる給付金が障害福祉サービス施設の報酬、つまり売上となります。
この報酬には、基本報酬と加算があり、それぞれ基準となる単価が定められています。

 

給付金計算方法

(基本報酬単価+加算)×地域区分単価 となります。
※地域区分単価は、障害福祉サービスの種類、施設を置く地域によって異なります。

地域区分単価:生活介護の場合
1級地:11.22円 2級地:10.98円 3級地:10.92円 4級地:10.73円 5級地:10.61円 6級地:10.37円 7級地:10.18円 その他:10円

1級地は、東京都23区となります。
茨城県では、牛久市が4級地、水戸市や日立市などが5級地、わたしの事務所のある茨城県神栖市はその他となっております。
障害福祉サービス施設の開業に際しては、施設を置く地域の検討も重要となります。

 

生活介護の報酬単価

ここから障害福祉サービス“生活介護”の報酬単価、および主な加算についてみていきます。
※参照:障害者総合支援法 事業者ハンドブック 2023年度版 

【基本報酬】

●事業所の事業所の利用定員と、利用者個人の障害支援区分に応じた報酬単価

イ.生活介護サービス費:利用定員20人以下
(1)障害支援区分6   : 1,288単位/日
(2)障害支援区分5   : 964単位/日
(3)障害支援区分4   : 669単位/日
(4)障害支援区分3   : 599単位/日
(5)障害支援区分2以下 : 546単位/日

ロ.生活介護サービス費:利用定員21人以上40人以下
(1)障害支援区分6   : 1,147単位/日
(2)障害支援区分5   : 853単位/日
(3)障害支援区分4   : 585単位/日
(4)障害支援区分3   : 524単位/日
(5)障害支援区分2以下 : 476単位/日

ハ.生活介護サービス費:利用定員41人以上60人以下
(1)障害支援区分6   : 1,108単位/日
(2)障害支援区分5   : 820単位/日
(3)障害支援区分4   : 562単位/日
(4)障害支援区分3   : 496単位/日
(5)障害支援区分2以下 : 453単位/日

二.生活介護サービス費:利用定員61人以上80人以下
(1)障害支援区分6   : 1,052単位/日
(2)障害支援区分5   : 785単位/日
(3)障害支援区分4   : 543単位/日
(4)障害支援区分3   : 487単位/日
(5)障害支援区分2以下 : 439単位/日

ホ.生活介護サービス費:利用定員81人以上
(1)障害支援区分6   : 1,039単位/日
(2)障害支援区分5   : 774単位/日
(3)障害支援区分4   : 541単位/日
(4)障害支援区分3   : 484単位/日
(5)障害支援区分2以下 : 434単位/日

 

【加算】

  • 人員配置体制加算
    イ.人員配置体制加算(Ⅰ):197~265単位/日
    ロ.人員配置体制加算(Ⅱ):125~ 181単位/日
    ハ.人員配置体制加算(Ⅲ):33~ 51単位/日
  • 福祉専門職員配置等加算
    イ.福祉専門職員配置等加算(Ⅰ):15単位/日
    ロ.福祉専門職員配置等加算(Ⅱ):10単位/日
    ハ.福祉専門職員配置等加算(Ⅲ):6単位/日
  • 常勤看護職員等配置加算
    イ.常勤看護職員等配置加算(Ⅰ):6~28単位/日
    ロ.常勤看護職員等配置加算(Ⅱ):12~56単位/日
    ハ.常勤看護職員等配置加算(Ⅲ):18~84単位/日
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算:41単位/日
  • 初期加算:30単位/日
  • 訪問支援特別加算:187~280単位/回
  • 欠席時対応加算:94単位/回
  • 重度障害者支援加算
    イ.重度障碍者支援加算(Ⅰ):50単位/日
    ロ.重度障碍者支援加算(Ⅱ):7単位/日、180単位/日
  • リハビリテーション加算:20~48単位/回
  • 利用者負担上限額管理加算:150単位/月
  • 食事提供体制加算:30単位/日
  • 延長支援加算:61~92単位/日
  • 送迎加算:10~21単位/回
  • 障害福祉サービスの体験利用支援加算:250~500単位/日
  • 就労移行支援体制加算:6~42単位/日
  • 福祉・介護職員処遇改善加算
    イ.福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ):所定単位数の4.4%
    ロ.福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ):所定単位数の3.2%
    ハ.福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ):所定単位数の1.8%
  • 福祉・介護職員等特定処遇改善加算
    イ.福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ):所定単位数の1.4%
    ロ.福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ):所定単位数の1.3%
  • 福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算:所定単位数の1.1%

 

報酬の計算例

それでは、下記の“生活介護”施設を例に報酬額を計算してみましょう!

  • “生活介護”施設 「ウィンディ(仮名)」
  • 所在地:茨城県水戸市(地域区分5級地) ※地域単価 10.61円
  • 定員:15人
  • 障害支援区分5の利用者2人、障害支援区分4の利用者4人、障害支援区分3の利用者9人
  • 生活介護サービス費:利用定員20人以下
    区分5   : 964単位/日
    区分4   : 669単位/日
    区分3   : 599単位/日
  • 人員配置体制加算(Ⅲ):51単位/日
  • 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ):6単位/日
  • 常勤看護職員等配置加算(Ⅰ):28単位/日
  • 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ):所定単位数の3.2%
  • 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ):所定単位数の1.4%

【報酬計算】
(a)基本報酬
①区分5 964単位/日×2人=1,928単位/日
②区分4 669単位/日×4人=2,676単位/日
③区分3 599単位/日×9人=5,391単位/日
①+②+③=9,995単位/日
(b)人員配置体制加算(Ⅲ)
51単位/日×15人=765単位/日
(c)福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)
6単位/日×15人=90単位/日
(d)常勤看護職員等配置加算(Ⅰ)

28単位/日×15人=420単位/日

(a)9,995単位+(b)765単位+(c)90単位+(d)420単位=11,270単位/日

(e)福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ)
基本報酬+加算
の3.2%
(f)福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)
基本報酬+加算の1.4%
⇒11,270単位+11,270単位×(
(e)3.2%+(f)1.4%)=11,788単位/日

の施設の地域単価(地域区分5級地=10.61円)より、
⇒11,788単位/日×10.61円(地域単価 )=125,070円/日

この施設が1か月=20日稼働して、
➡125,070円/日×20日(1か月)=2,501,400円/月

この施設の同月の報酬は2,501,400円となります

このように“生活介護”施設の報酬は計算されます。
基本報酬は、利用者数や利用者の障害支援区分によって変わります。
但し、障害支援区分が高くなると、生活支援員が必要であり、サービスの提供も増えるかもしれません。
利用者の障害支援区分とサービスの提供を行う上での人員バランスをしっかりと考慮しなければいけません。

 

障害福祉サービス “生活介護” の報酬(売上)を上げる為には、基本報酬を上げると共にいかに加算を加えていくことが出来るかが重要となります。
但し、やみくもに加算を増やし、従業員の負担を増やし、利用者へのサービスを低下させてしまっては意味がありません。
施設運営の向上、利用者へのサービス向上、従業員のモチベーションの向上などが得られる様に加算を加えることが大切ですね!

 

当事務所では、生活介護の障害福祉サービス施設の運営サポートを行っております。
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