ブログ
2.12024
「戸籍謄本等の広域交付」制度について、わかりやすく解説します。
みなさん、ご存じですか?
令和6年3月1日から、戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)が施行され、「戸籍謄本等の広域交付」制度がスタートします!
まずは、そもそも戸籍ってなんでしょう?
戸籍とは
戸籍とは、日本国民一人一人が生まれた時から亡くなるまでの身分事項が記録されており、それを役所が証明してくれるものです。
戸籍は本籍地の市区町村に置かれていて、夫婦と同居する氏を同じくする未婚の子が単位となります。
※戦前の戸籍制度では、孫、甥、姪なども含めた一族全員が同じ戸籍に記載され、戸主を中心とした「家」が一つの単位とされていました。
本籍地が他の市区町村に変わると新たな戸籍が作られます。
また、結婚すると親の戸籍から抜けて、新たな戸籍が作られます。
戸籍には、本籍地、筆頭者、出生に関する事項、婚姻・離婚に関する事項、子に関する事項、死亡に関する事項が記載されます。
戸籍謄本と戸籍抄本
戸籍に関する証明書には、戸籍謄本(全部事項証明書)と戸籍抄本(個人事項証明書)などがあります。
戸籍謄本は、役所に保管されている戸籍の原本全部(全員の記載事項)が写された書面となります。
戸籍抄本は、戸籍の原本の一部(請求した特定の個人の記載事項)が写された書面となります。
戸籍謄本(全部事項証明書)の見本
相続手続きを行うには、被相続人の死亡の事実や、相続人の確認を行うために被相続人との親族関係を明らかにする必要があります。
また、遺言書を作成する場合においても、推定相続人の確認を行うために遺言者との親族関係を調査する必要があります。
そのためには、戸籍謄本(全部事項証明書)の収集が必要となってきます。
戸籍の種類
戸籍には、現在戸籍、除籍、改製原戸籍という種類があります。
- 現在戸籍:現戸籍(げんこせき)ということもあります。現在在籍している人がいて使用されているものです。
※上記の戸籍謄本や戸籍抄本は、現在戸籍の写しとなります。 - 除籍:戸籍に在籍していた人が全員いなくなってしまったものです。(全部除籍)
全員亡くなってしまった場合、全員が他の市区町村に転籍(本籍地を移す)した場合
全部除籍された戸籍は、現在の戸籍簿から「除籍簿」に分けられます。
また、戸籍に在籍していた人が婚姻や死亡により戸籍から外れることも除籍という言葉が使われます。(一部除籍) - 改製原戸籍(かいせいげんこせき):「かいせいはらこせき」と読むこともあります。
日本の戸籍制度は飛鳥時代にまでさかのぼるようですが、明治5年に戸籍制度の原型が整えられたそうです。
それから現在に至るまで、戸籍法が改正され、戸籍制度は法律の改正や命令によって変わってきたのです。
そのたびに、戸籍の編製方法は改められ、新しい形式の戸籍へと作り直されてきました。
これを改製といい、改製される前の戸籍のことを改製原戸籍と言います。
それでは、いよいよ令和6年3月1日からスタートする「戸籍謄本等の広域交付」制度をみていきましょう!
戸籍謄本等の広域交付
広域交付制度とは、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになる制度です。これにより、本籍地が遠方にある方でも、ほしい戸籍の本籍地が全国各地にある方でも、最寄りの市区町村の窓口1カ所でまとめて請求できるようになるんです。
※コンピューター化されていない一部の戸籍・除籍は除かれます。
※一部事項証明書、個人事項証明書は請求できないそうです。
広域交付で戸籍証明書等を請求できる人
- 本人
- 配偶者
- 直系尊属(父母、祖父母など)
- 直系卑属(子、孫など)
兄弟姉妹を除き、戸籍証明書等を請求できるんです。
注意事項
- 戸籍証明書等を請求できる人が市区町村の戸籍担当窓口に行って請求しなければなりません。
- 郵便や代理人による請求はできません
- 窓口で請求した人の本人確認(顔写真付きの身分証明書の提示)が必要
※運転免許証、マイナンバーカードなど
相続手続きを行うには、相続人となる人を調べるために被相続人との親族関係を明らかにする必要があり、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を収集しなければなりません。
今までは、被相続人の本籍地の市区町村の窓口でなければ、申請・郵便による取り寄せができず、また転籍が多くほしい戸籍の本籍地が全国に複数存在していたら、それぞれの市区町村の窓口へ、申請・郵便による取り寄せをしなければならず、かなり大変で手間が掛かっていました。
この「戸籍謄本等の広域交付」制度がスタートすることにより、最寄りの市区町村の窓口1カ所で被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍が揃えられ、残された相続人の手間も相当軽減することになるでしょう!
行政書士の立場からいたしますと、代理人による請求も行えたなら、さらにありがたいのですが・・・
今回、ご紹介した「戸籍謄本等の広域交付」制度以外にも便利になる制度が今後スタートするそうです。
詳細は、法務省 民事局のウェブサイトをご確認ください!